音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

『イギリス史』

ゼミ報告を終えてどうも気が抜けているので、現実逃避に2000年前のイギリスにタイムスリップしてみた。イギリスの政治思想を勉強してるのに、イギリス史についての知識はいまだに高校の世界史並という状況は、まずいなーと思っていた。そろそろ歴史もしっかり学んだ方が良いかもしれない。と思って手に取ったのがこれ。

イギリス史 (世界各国史)

イギリス史 (世界各国史)


まずはここからという感じですね。第1章は先史時代から12世紀ノルマン時代までの「イギリス」の成立過程だ。改めて気づかされるのは、大陸からイギリスに渡った(攻め入った)民族の多様さだ。ケルトにローマ、アングロサクソンに北欧ヴァイキング、そしてフランス・ノルマンなどなど、それぞれの民族がそれぞれの一時代を築きつつ、イギリスの文化を重層的なものにしていった過程が描かれている。第1章でのイギリスの最終的な「支配者」は、へースティングズの戦い(1066年)で有名な、ご存知ノルマンディー公ウィリアムら、フランス・ノルマン系だが、注目すべきは執筆者の次の指摘。

ウィリアムはイングランド王になったが、いぜんとしてノルマンディ公でもあり、英仏海峡を往来しながら両地域を統治していった。・・・征服者たちにとって、あくまでも本拠はノルマンディであり、イングランドは、アングロ=ノルマン王国の「属領」としての地位におかれることになった事実を見逃してはならない。(p48)


「属領としてのイギリス」という事実は、帝国主義と切り離せない近代以降のイギリスのイメージとは対照的で、面白いと思った。