音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

研究について、つれづれ

・チャールズ・ロックにつづきヘレン・ボザンケの救貧論を読んでいる。彼女の主著『民衆の力』(1903)はなかなかの名著だ。ここでも歴史家が批判的にロンドンCOSの原理としてきたものとはそぐわない「貧民を包摂する思想」をしばしば見出す。一次文献とじっく…

6月10日

・チャールズ・ロックのチャリティ思想について、今日も1200字ほど書いた。かれがチャリティという言葉で何を言いたかったのか、最近、ようやく少し理解できてきた。 ・COS関連で現代のフィランソロピー研究にも少し目配りしているのだが、なかなか面白いな…

6月6日

しばらく放置してしまったが、また日々の記録がわりに書いていくか。主に研究メモ的な用途で。 ・朝1000字ほど原稿を書く。書き癖をもっとつけたい。 ・リパブリカニズム(共和主義)とは結局なんぞや?徳?制度?自由?リベラリズムとの関係は?もっと勉強し…

採点期間

先週から期末試験の採点期間に入る。昨年に比べて今学期はなぜか受講生数が急増したので(トータルで150人から400人へ!)、採点が大変だ。答案用紙を読んでも読んでも終わらない。さらに授業期間が終わって気が抜けたのか、週の後半には体調不良になり(頭…

昨日(土曜日)は、午前中に妻がフリータイムをくれたので、カフェで2時間ほど集中して某翻訳企画の1と2を進められた。感謝。1はわりと順調。2は正直、いつ終えられるのか分からない。夕方~夜は家事育児をバトンタッチして、妻が外出。夫婦の時間は取…

一週間も終わりだが・・・

午後に2コマ授業。午前中は授業準備やその他の雑務。金曜は子どもの迎えの日なので、授業終了後はすぐに帰宅しなければならない。研究といえる活動は、通勤電車内の読書のみ。高野『イギリスの社会事業』を引き続き読む。帰宅後は、寝るまで家事と育児に追…

アブストラクト+読解

今日は会議1つと学生面談など。3時間ほど研究にあてられた。某論文集企画のためのアブストラクトを作成。「日本における観念論哲学の受容」というテーマの企画で、いろいろ悩んだが、やはり当初予定どおりにすることにした。研究と執筆がうまくいくと良い…

翻訳少し+授業2コマ

今日の研究は翻訳25分くらいのみ。水曜日はほとんどが授業の準備と授業(2コマ)に費やされる。朝の子どもたちの保育園送りを早めれば、もう少し研究時間を確保できるのかもしれない。だがそのためには睡眠時間を削らなければならず、健康面への影響が心配…

翻訳と英語の授業

今日の研究時間は45分ほど。某翻訳を進める。あとは英語で教える授業と、大学院の授業。年々、英語のスピーキング力が落ちている気がする。今日はあまり授業の進め方も良くなく、学生にはポイントが分かりづらかったと思う。

久しぶりの更新

とても久しぶりにブログを書いてみる。ブログというもの自体がもう流行遅れになっているような気もするし、読んだり書いたりする人もだいぶ減っているのだろうが、まあ自分用のメモとして使えるだろう。 上の子が、この春に6歳になった。ずいぶん成長したな…

キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』第二部ノート

愛の労働あるいは依存とケアの正義論作者: エヴァ・フェダーキテイ,Eva Feder Kittay,岡野八代,牟田和恵出版社/メーカー: 白澤社発売日: 2010/08/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (16件) を見るロールズ批判の部分(第二部…

問題関心:自由主義について

思想史研究者はしばしば、自分の研究対象の思想にシンパシーを覚える。かくいう自分もこれまで「自由主義」思想の研究をしてきたわけだが、他の思想と比較して、自由主義にもっとも共感を覚えている(もっとも自由主義それ自体、きわめて多義的なイデオロギ…

近況:紀要論文を書いています

久々のブログ。結局この夏はこまごました家のことや論文執筆に追われて、まったく更新できなかった。自分の要領の悪さ、仕事の遅さがいつもながらの課題。本当は7月に行ったイギリス理想主義ワークショップの記録も書きたいのだが…。それはまたいずれ。執筆…

報告原稿を書いています

この2月3月はけっこう文献を読み進められました。学生の海外引率がこの冬はなかったことが大きいです。しかし肝心の執筆の方はあまり進まず、新年度の授業開始が見えてきた焦りから(貴重な研究期間が終わってしまう!)、ようやく3月後半から筆が進むよ…

自立と介入の適切な関係とは?(知的障害者福祉をめぐって)

引き続きイギリスの知的障害者福祉の歴史を勉強中。以下の本は、第二次世界大戦後から2001年までの知的障害者をめぐる思想、政策、生活実態、国際比較が網羅的にまとめられていて、基礎知識やイメージを得るうえでとても有益だった。ただし、著者たちはイギ…

マシュー・トムスン『精神薄弱の問題――イギリスの優生学、デモクラシー、社会政策1870-1959』

The Problem of Mental Deficiency: Eugenics, Democracy, and Social Policy in Britain C.1870-1959 (Oxford Historical Monographs)作者: Mathew Thomson出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand発売日: 1998/05/14メディア: ハードカバーこの商品を含…

最近の関心事:トマス・ヒル・グリーンと障害の歴史

今学期も勤務先大学の授業は無事終了。ようやく少し腰を据えて読み書きができそうだ(まだ採点とシラバス執筆が残っているが・・・)。最近は、トマス・ヒル・グリーンの倫理学を少ししっかり読んでいる。人間の本質を「他者と意識を介して関係する」ことに…

R.ホフスタッター『アメリカの社会進化思想』

アメリカの社会進化思想 (1973年) (研究社叢書)作者: 後藤昭次出版社/メーカー: 研究社出版発売日: 1973メディア: ?この商品を含むブログ (2件) を見る今度、社会進化論について論文を書くことになったので、基礎文献であるこの本も読んでみた。原著は1944年…

相模原の障害者施設殺傷事件について

今回の事件が日本社会に与える影響について、いま私が心配しているのは、この先、社会的に影響力のある人物(政治家や知識人など)が、容疑者と同様の、あるいは違った角度から、「障害者は社会からいなくなったほうがよい」との優生思想的なメッセージを発…

リッチー(D.G. Ritchie)「ダーウィンとヘーゲル」を読む

以下の著作の表題論文。原著は1893年。Darwin and Hegel, with Other Philosophical Studies作者: Ritchie David George 1853-1903出版社/メーカー: Hardpress Publishing発売日: 2013/01/28メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る一読…

イギリス観念論における形而上学と倫理学の関係

某所でイギリス観念論(イギリス理想主義)について解説文を書くことになったので、改めてお勉強中。難解で、それだけに誤解を受けやすい論点の一つに、イギリス観念論における形而上学と倫理学の関係がある。観念論者たちが議論のなかで誰を仮想敵にしてい…

ジョセフ・シャピロ『哀れみはいらない 全米障害者運動の軌跡』

哀れみはいらない―全米障害者運動の軌跡作者: ジョセフ・P.シャピロ,Joseph P. Shapiro,秋山愛子出版社/メーカー: 現代書館発売日: 1999/12/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る日本では今年4月から「障害者差別解消法」が施行されるが、アメリカ…

「重度の先天的障害のある野生チンパンジーの赤ん坊の発見」京都大学HP-研究成果

概要: タンザニアのマハレ山塊国立公園は、これまで50年近くの間、野生チンパンジーに関する研究が京都大学を中心とする研究チームによって継続されてきました。研究対象のチンパンジー集団(M集団)については、チンパンジーの出生年や血縁関係、個体ごと…

社会思想史学会で研究報告

週末は関西大学で行われた社会思想史学会に行ってきました。自分も二日目の今日、朝一のセッションで報告してきました。私の報告のテーマは、政治思想史研究の方法論についてでした。 実はこのテーマは、大学院の時以来の、自分にとってのいわば宿題と言える…

育児(と家事)の辛さと喜び

父親業も気づけばはや2年6か月(子どもが2人になってからは約1年)。これまで家事育児(主に育児)を通して私が感じてきた辛さと喜びのもっとも典型的な部分を、以下に簡単にまとめておきたいと思います。1.身体的辛さ →うちが年子なこともあり、家事育児…

研究会で報告

ものすごく久しぶりの更新になってしまいました。昨日は都内の某研究会でニューリベラリズムの福祉国家思想について報告してきました。昨年某学会誌に掲載した拙論が今回お声をかけていただいたきっかけになったようです。論文を書くという行為は、他の研究…

『イギリス哲学研究』第38号(2015)が届く

手元に今年の『イギリス哲学研究』(日本イギリス哲学会の年報)が届いたのでざっと読む。特に自分の研究に大きく関わる以下の二篇を面白く読んだ。①論文:尾崎邦博「D.G.リッチーとJ.A.ホブスン――財産権についての比較考察――」ともにニューリベラリズムの思…

健康は大事・・・

3週間ほど前からしつこい咳が続いていたので内科で診てもらったところ、細菌性の気管支炎と診断されてしまいました。抗生物質を飲む3日間は安静にして、子どもに近づいてはダメとのお達しも。その間の育児はすべて妻にやってもらうことになってしまい、申…

一年を振り返って

なかなかブログを更新できないまま年の瀬になってしまいました。振り返れば、今年は個人的にかなりあわただしい年になりました。春には愛知から神奈川へ引っ越しがあり、妻は再び妊婦さん生活に突入しました。4月からは1歳になった娘のバージョンアップし…

R.H.トーニーらの社会主義思想について

この夏はイギリスの社会主義思想家R.H.トーニーについて、少し勉強を進めています。トーニーは、私がこれまで研究してきたL.T.ホブハウスやT.H.グリーンとも、かなり思想的な親和性が強いと言える人物です。三人ともJ.S.ミル以後の自由主義の系譜につらなり…