音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

決断、そして・・・

前回の続きです。今年度限りでシェフィールド大学を早期退職して、奥さんのいるカーディフに戻る決心をした私の指導教官、ホールデン教授。そのことを私に告げる際、「君も来年度カーディフ大学に移らないか?そうすれば君の指導を続けられると思う」と彼は提案しました。私はさんざん迷いましたが、ようやく決心をつけ、二月の終わりにホールデンにメールを送りました。

「あなたの提案通り、カーディフ大学に移りたいと思います。あちらのジョーンズ教授にも、そのように伝えて下さい。・・・」

私はカーディフ大学に移る決心をしました。シェフィールドに残る道とカーディフに移る道、どちらも一長一短ありましたが、決め手となったのが、なぜそもそも私はイギリスへの留学を決めたのか、そしてなぜシェフィールド大学を選んだのか、という原点の問いを再度考えてみたことでした。そこから導き出された答えは、ホールデン教授の指導のもとで博士論文を書き上げたいから、というシンプルなものでした。研究面での彼の大きな支えはもとより、実際に会って分かった彼の朗らかな人柄や、理想主義的な人間観・社会観に、私は惹かれていたのです。彼からできる限り多くのことを学びとりたいという、留学当初から持ち続けていた思いが、私の背中を最後に押してカーディフへの移籍を決心させてくれたのでした。

ともあれ、いざ移籍を決めたとなると、行わなければならない事が格段に増えました。まずカーディフ大学からは、研究科長ジョーンズ教授の意向にかかわらず、やはり正式な入学申請手続きを踏み審査を受けるように言われました。このため、研究計画書や自己アピール文(Personal Statement)の作成、推薦状の依頼*1、日本の大学への卒業証明書発行の依頼などを、改めて行いました。学会報告の準備もあってなかなか進みませんでしたが、ようやく4月末に出願書類一式を揃え、カーディフ大学へ送付。審査の上、6月半ばに正式な入学許可が降りました。併せてホールデン教授にも、私の「第二指導教官」としてのポストが無事に与えられたようです。

しかし、10月の入学までに行わなければいけないことはまだ山積みです(そしてこれが前々回の記事で書いた「この夏の懸案事項」なのです)。第一に、「奨学金」の問題があります。これまで奨学金を支給して下さっている「日本学生支援機構」からは、研究計画書および移籍先であるカーディフ大学の概要を説明した文書を作成し、提出するように言われています。その内容をもとに移籍が妥当なものであるか否か、改めて審査を行うとのことです。

第二に、visaの問題があります。カーディフの事務の人に言われて知ったのですが、留学先の所属機関を変更する場合は、「ビザ申請センター(UK Border Agency)」に届け出る必要があるのだそうです。場合によっては、ビザ再発行の(面倒かつ高額な)手続きが求められるかもしれないと言われ、戦々恐々としています。こちらも早いうちに申請しなければなりません。

そして第三に、カーディフでの「家探し」の問題があります。家とハウスメイトの良し悪しによって留学生活のストレスの度合いは大きく変わりますので、良い住まいを見つけることが、カーディフでの研究生活の成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。

目下の一番の懸案事項はこの第三点目でして、実はこの記事も、カーディフのホテルから書いています。今日のお昼にカーディフに到着しました。今日と明日で二軒ずつ家を見せてもらい、気に入った家があればあさってに契約を結び、シェフィールドに戻りたいと考えています。「簡単に契約しちゃだめだよ、慎重に!」と、シェフィールドの友人には言われ、大学のホームページにもそのように書いてあるのですが、なにぶんシェフィールドから簡単に来られる距離ではありませんので(片道4時間半かかりました…)、できれば今日明日に見る家のなかで決めたいというのが正直な思いです。ただ、今日見せてもらった二軒は、悪くはないけど気になる点もあるなあという感じで、残念ながら即決には至りませんでした。

このように、この夏は研究と並び、移籍をめぐる諸々の点に忙殺されそうなのです。だけどこれは自分で選んだ道。この機会を生かすも殺すも自分次第でしょう。最後に良い結果がついてくるものと信じて、今は目の前のことを頑張りたいと思います。三回に渡って少し以前の事を書いてきましたが、今後はまた現在進行形の記事に戻ると思います。長い記事になってしまいましたが、読んで下さった方、どうもありがとうございますm(_ _)m

*1:シェフィールドを「退学」するための推薦状を、シェフィールドの教員にお願いするわけですから、これは非常にやりにくかったです・・・