音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

出生率1・25また最低 働き方見直し急務

(6月2日東京新聞より:http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060602/mng_____kakushin000.shtml

少子化の議論に関してこのごろ気になっているのは、社会学者の赤川学氏による『子供が減って何が悪いか!』という本だ。未読だが、以前に読んだことのある同著者の代表作である『セクシュアリティの歴史社会学』という本は、社会構築主義の立場からの綿密なセクシュアリティ史論だったように記憶している。
赤川学子どもが減って何が悪いか!』2004年、ちくま新書http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480062114/qid=1149257287/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/503-4871977-7696747


レビューをいくつか読む限り、主な内容は、少子化議論のなかで散見されるデータ解釈の恣意性への批判と、「産めよ増やせよ」社会の再来への危機感が示されたもののようである。そのうえで赤川氏の主張は、「都市化が進む現代にあって少子化は止めようがなく、これを前提とした公平で自由な社会を目指すべきだ」というものらしい。


読んでない本について何か書くのはよろしくないことだが、1点だけ。上の主張を読んで抱く素朴な疑問は、「子供が欲しいのに、経済的理由で持てない人たちはどうしたら良いのだろうか」という疑問である。


一方で「子どもを持つ、持たないは親の自由であり、国家が介入すべきでない」という議論があり、もう一方で「理想の数の子どもを持てない人々に対して、より幅広い選択の自由を保証するために環境を整えるべきだ」という議論がある。どちらも「自由」について述べたものではあるが、その主張は見事に正反対である。赤川氏はこの辺りをどう折り合いつけて表題の主張に持っていっているのか、興味深い。本屋で見つけたら、読んでみよう。


個人的には、諸々の調査で明らかになっているような「理想の子ども数(=これは過去数10年間そこまで変化はなく、およそ2.6)」と「現実の子ども数(≒出生率)」との間の大きなギャップは、やはり大きな問題だと思うんだが…。
(国立社会保障・人口問題研究所による「少子化の背景と要因」調査結果などを参照:http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Relation/2_Factor/Factor.asp?chap=2&title1=%82a%81j%8Fo%8EY%82%F0%8E%E6%82%E8%8A%AA%82%AD%8E%D0%89%EF%82%CC%95%CF%89%BB