音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

博士論文提出しました

またもや更新が途絶えてしまいました・・・。ちゃんと生きてます。年末、年始はずっと博士論文の仕上げに取りかかっていました。思ったよりも時間がかかりましたが、先日、ようやく仮製本してカーディフ大学に郵送することができました。口頭試問(イギリスではVivaと言います)の日程もあわせて決まり、3月下旬に渡英できることになりました。外部審査員は私の研究テーマではよく知られた先生に決まり、身が引き締まる思いです。

2008年の春に日本の大学の博士課程に進学して以来、足かけ5年かかってしまった博士論文ですが、達成感があるかと聞かれると、正直微妙なところです。ある問題群の本当に小さな部分に光を当てたに過ぎず、その過程でさらに追究すべき課題に次々と直面してしまい、それらは差し当たり脇に置かざるを得なかった、というのが最も近い実感です。その意味では修士論文を終えた時のやや物足りない感覚に似ていて、「我が研究に悔い無し」的な気持ちはまったくありません。ただ、論文として一つのまとまりのある議論をそれなりに展開できたかなとは思います。その点では、途中何度も苦しんだけれど、ここまでこられて本当に良かったなと感じています。

今は博論をひとまず視界から遠ざけ(笑)、次の論文のためのリーディングに取りかかっています。博論ではホブハウスのニューリベラリズムの理論構造の解明のために、テクスト分析の作業に主に力を入れたのですが、その際に脇に置いてしまった課題の一つに、思想の歴史的変化の問題があります。ヴィクトリア期の思想的特徴を多分に保持していたニューリベラルが、第一次大戦を契機とする近代から現代への政治的・思想的転換をいかに観察し、どれだけ自身の問題関心を変化させたのか、またこの過程は、果たして根本的な次元で彼らのリベラリズムの修正を伴っていたのか、これらの問いをホブスンとホブハウスの思想を中心に解明していく必要があると感じています。

妻のお腹の赤ちゃんも元気に育っています。そろそろ妊娠後期にさしかかる頃で、彼女は腰痛に悩まされている様子。外出時のガードルの着用と、自宅でのマッサージが欠かせません。また妻は育休を取得する予定なのですが、私が働きに出ている間、赤ちゃんと二人きりの「孤立」の状態をどれだけ防げるかが今から少し心配です。というのも、いま住んでいる愛知県の某所は双方の実家からも結構遠くて、また昨年引っ越してきたばかりで、知り合いと呼べる人は近くにいないのです。たまにランチを外で食べたりすると、小さなお子さんを連れたいわゆる「ママ友」の会に遭遇することがあるのですが(例外なく全員お母さんで、お父さんは皆無…)、その賑やかな様子を見るにつけ、果たして妻は(そして場合によっては私も!?)あの中に入っていけるのかな、と少し不安になります。でも頑張って入って知人・友人を作らないと、日中ずっと赤ちゃんと二人きりはきついよな〜と二人とも感じているところです。