音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

ケンブリッジ訪問&友人と

更新をさぼってしまってますが、元気です。

8月に入り、ケンブリッジ大学に研究員として滞在されている日本人の先生に招かれて、ケンブリッジまで行ってきました。フォーマルな服装が求められる晩餐会や、何世紀にも渡って連綿と受け継がれるカレッジごとの独特のしきたり、卒業生の緊密な繋がりなど、シェフィールドとあまりに異なる「ジェントルマン」の理念に則った大学生活に、オックスフォードを訪ねた時と同様、軽いカルチャーショックを覚えました。ここを卒業した学生がイギリスの財界、政界を牽引するのだなあと思うと、イギリスには意識や文化の上で「階級」が非常に強く残っていると思わざるを得ませんでした。

ただ、入学試験に当たって出自や出身校の違いが果たして影響するのか先生に聞いたところ、そういうことはなく、いまは純粋に実力主義である、との答えが返ってきました。現在のケンブリッジでは、メリトクラシーと階級文化が交錯しているということでしょうか。19世紀に産業資本家がこぞって貴族階級の文化の吸収に努めたことなども想起されて、大変興味深かったです。

ケンブリッジで一泊した後は、資料調査のためロンドンで二泊しました。ここではLSEのサマースクールに参加している研究分野の近い友人と再会。とても優秀な研究者である彼とは、会うたびに大きな刺激をもらえます。二人で入ったフランス料理店がとても素晴らしく、テンションが上がってプライベートなことまで色々と聞いてもらってしまいました。イギリスに行って美味しいものを食べようと思ったら、外国料理のお店に入ること、これが秘訣です(笑)。

今日はスウェーデンと日本にいる、日本人とカナダ人の友人と英語&日本語でスカイプ。最近書いた論文草稿を見てもらい、大変有益なコメントを頂きました。特に、一方で有機的社会観に基づき人格の社会的規定性を指摘つつ、他方でリベラリズムに基づき外的干渉による人格発展の可能性を否定するホブハウスの議論は矛盾していないかとの指摘には、なるほどと思わさせられました。僕の現時点での理解は、ホブハウスは人格発展をもたらす意志の自由の存在を肯定したが、そうした自由が発揮される条件は社会的に規定されると考えていた、というものです。この点が、モラリズムに基づきながらも福祉国家論に接近した彼の政治思想の特徴と言えるのではないか、と考えています。

このようなわけで最近は日本語を話す機会が多く、ストレス解消にもなっています!