音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

被災地の子どもたちの声を届けたBBCドキュメンタリー+福島差別についてのニュース


3月1日にBBCで放送されたドキュメンタリー「津波の子どもたち Children of the Tsunami」を、BBC iPlayerで観ました。東日本大震災の被災地の子どもたちが、「その瞬間、その後、これから」をどう感じ、考えたのか、その貴重な声に耳を傾けた、静かな、それでいて感動的な番組でした。いつもながらBBCの番組制作力には驚かされます。(番組HP

そのうち削除されてしまうかもしれませんが、今ならばYou Tubeでも視聴できるようです。
http://www.youtube.com/watch?v=D_AxnoNrr_8

津波を生き延びた少年が将来の夢を語った最後の部分など、哲学・倫理学的にも重要な点を提起していると思いました。

(震災に対して)怒ってるわけではない。自然は助けてくれることもあれば、悪いこともあるから、それはしょうがないことだと思う。海だって魚がいっぱい泳いでるから、魚だって、僕たちが食べてるものだから。・・・みんなを助ける仕事がしたい。震災のときに助けてもらったから、みんなを助けたい。(55分目くらい)


しかし、被災地の子どもたちが語った将来の夢に希望を持つことが出来た反面、今日は次のニュースに落ちこまされもしました。
福島から避難の子ども、入園断られる 山梨の保育園」(朝日新聞 3月2日付)

慣れ親しんだ家や地域から離れなければならず、友達とも別れ、もしかしたら親しい人を亡くしたかもしれない、そうして心に深い傷を負いながらも、やっとの思いで避難してきた子どもたち、親たちを、想像力と知識の欠如した大人が露骨に差別する。これもまた日本社会の悲しい現実なのでしょう。

今ほど、この原発事故や震災に対する、私たち一人一人の道徳性のあり方が問われている時は無いように思います。それは少し抽象的に言うならば、他者の苦しみへの想像力、「自分たちマジョリティ」とは異なる境遇の人々への理解や共感の精神を、どれだけ私たちが持てるかという問題です。それが出来なければ、お題目でいくら「絆」を訴えても、表面上いくら原発事故「収束」を唱えても、日本社会は真の復興とはほど遠い状態のままでしょう。