音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

イスラエルのガザ侵攻


最近はなかなかブログを更新する時間的、精神的余裕を持てていないが、年末以降のイスラエルによるガザ攻撃は、国内の派遣切り問題と並んで、新年早々から私の心を暗いものにしている。昨日(1月6日)もガザの人々の避難場所であった国連学校や難民キャンプにイスラエル軍が砲撃し、少なくとも45人が死亡したという(http://www.asahi.com/international/update/0107/TKY200901060342.html?)。一般市民の避難場所への砲撃を命令・許可できるイスラエルの指導者たちは、パレスチナ人を自分たちと同等の人間とはみなしていないのだろう。彼らを自分たちより劣等な存在と思っているからこそ、かくも残酷な命令が下せるのだ。


ところで今回の紛争に関するニュースを追っていて気になるのは、何がこの紛争の直接の原因なのかという問題である。イスラエルブッシュ大統領は、今回のパレスチナ攻撃の理由を、最初にハマスがロケット弾をイスラエルに打ち込み、双方の停戦状態を破ったためと説明している。(http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200901030004.html)


だがイギリスの「ガーディアン紙」が、これとまったく反対の事実を伝えている。記事によれば、全世界がアメリカ大統領選挙に注目していた昨年11月4日、イスラエル軍が密かにガザに侵攻、ハマスのメンバー6人を殺害したのだという(http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/04/israel-gaza-hamas-hidden-agenda 真ん中よりやや下の辺り)。停戦状態をはじめに破ったのはハマスでなく実はイスラエルの側であり、ハマスのロケット弾は、イスラエルの侵攻に対する報復だったというのだ。これが事実ならば、「イスラエルの大量殺りくは悪い、だが最初に攻撃したハマスも悪い」といった日本のマスコミに見られる最近の論調は、大きく誤っていることになる。ハマスパレスチナ国内の選挙で民主的に選出された第一政党であることも踏まえれば、今回のイスラエルのガザ侵攻が、二重、三重の不正のもとに行われている一方的な「侵略」に過ぎないことが分かる。


日本のマスコミの報道は全てイスラエル発の偏ったものであり、ガザが実際にどのような状況なのか、テレビや新聞を見ている限りでは全く分からない。ようやくアルジャジーラで、国連学校砲撃に関するガザでの報道を見つけることができた。人間の生存権を平気で踏みにじるイスラエルの所業に、新年早々、怒りと悲しみと、どうしようもないやるせなさを覚えた。