音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

いくつかの英語教授法

しばらくさぼってしまっていた英語教授法の勉強を再開しました。研究と並行して毎日少しずつ進めていきたいと思います。英語教育のみならず、生徒との信頼関係の築き方、トピックへの関心の持たせ方、教師の様々なタイプの分析など、望ましい授業運営とは何かについても教えられる点が多いです。

ちなみに自習用に使用しているテキストはこちら。昨年夏にCELTAを受講した際に勧められたものです。


Learning Teaching: The Essential Guide to English Language Teaching [With DVD] (MacMillan Books for Teachers)

Learning Teaching: The Essential Guide to English Language Teaching [With DVD] (MacMillan Books for Teachers)


以下は今日のメモです。

代表的な教授法いくつか:

1.文法・翻訳中心(The Grammar-Translation Method): 伝統的な方法でありいくつかの文化圏では今も支配的。教師自身は英語をほとんど用いず、母語で授業を進める。生徒は教科書を読み、内容を翻訳し、課題を解く。スピーキング、リスニングの練習が比較的少ない。


2.音声言語中心(The Audio-Lingual Method: 理論上は有効性が疑問視されるようになったが、未だに影響力は強い。生徒はモデルとなる文や会話を聴いた上で、それを声に出して反復する。教師からの説明はほとんど行われない。(参考動画:実践中の教師(3分くらいから))


3.身体反応法(Total Physical Response (TPR)): 生徒はパントマイムなど身体運動を行いながら英語を学ぶ。子どもなど初学者に特に有効とされる。(参考動画:TPR実践中の教師


4.コミュニケーション中心(Communicative Language Teaching(CLT) or Communicative Approach (CA): 今日最も採用されている方法。生徒は意味のあるコミュニケーションに参加することで初めて英語を上達できる、という理論に基づく。弱いCLTと強いCLTに分けられる。弱いCLTでは、あらかじめ用意されたテキストや課題、また教師による説明を交えつつ、生徒は(主にスピーキングとリスニングの)アクティビティを行う。強いCLでTは、教材使用や教師の説明はほとんど行われない。(参考動画:理論の概要説明


5.タスク中心(Task-Based Learning (TBL)): 上のCLTの一形態。授業は実生活に必要なスキルの習得を意図した様々なタスクの実践から成る。(参考動画:TBLの解説と実践


6.サイレント法(The Silent Way): しばしば「キュイズネール棒」を用いる教え方として有名。教師の発話は最低限の指示やヒントのみ。生徒は指示・ヒントに従って思考、実践を行う。(参考動画:サイレント法実践中の教師


その他、Person-centred approachesやLexical approachesなど。重要な点は、今日の教師の多くは、自分の能力や好み、また生徒の関心や性格、授業規模などを考慮しつつ、異なる教授法を自分なりの方法で組み合わせて実践している、ということ(principled eclecticism)。(p. 31-33)