音楽友に、今日も安眠

某大学教員の日記

イギリスの鉄道事情キター!

ロンドンから無事シェフィールドに戻ってきました。只今深夜2時。ロンドン滞在はとても有意義で、見たかった資料も全てコピーすることができたし、先輩とも無事お会いすることができて、とても楽しい時間を過ごすことができました。

しかし今回の旅行では、最後にかなりひどいことが待ち受けていたのです。。。

それはロンドンからシェフィールドに向かう帰りの電車でのこと。ふ〜疲れたと思いながらうとうとしていると、あと45分くらいでシェフィールドという所で突然電車が止まり、「只今、信号機にトラブルがあったとの情報が入りました。この電車を約10分ほど停車します」とアナウンスが流れました。

最初は大して気にしなかったのですが、これが悲劇の始まりでした。その後、なぜか「やっぱり電車を降りろ」と言われ、全員近くの駅で降ろされてしまったのです。「シェフィールドへの振替電車を出す」と車内では言われたものの、いつそれが来るのか何の情報もないまま、結局この小さな駅で1時間ほど待たされました。

さらに振替電車の車内では、「この電車は(シェフィールドより20分くらい手前の)チェスターフィールドまでしか行かないから、シェフィールドに行く人はそこでまた電車を乗り換えろ」とアナウンスが流れました。さすがにこのアナウンスが流れた瞬間は、乗客の間にも「ハァ?ふざけんな!シェフィールドまで行けよ」といった声が上がってました。

(さらにこの時、この振替電車はチェスターフィールドのひとつ前の「ダービー」という駅は通り過ぎて、チェスターフィールドにいったん行ってから、引き返してダービーに行くという、不条理としか思えない案内も流れました。当然ながらダービー行きの人達の方が、シェフィールド行きの人達より文句を言ってました。)

トラブルが起こるのは仕方ないとして、こういう時に目的地の手前で電車を(二度も)乗り換えさせ、さらに意味不明なルートを通るという非効率かつ不条理きわまりないことを平気で行うあたりが、さすがは悪名高きイギリスの鉄道です。色々と悪い噂は聞いていましたが、ついに僕もその洗礼を受けてしまったようです。直後に車掌が'Any queries, folks?(みんな何か質問はあるかい?)'と聞きに来てましたが、こういう時に乗務員が全く謝らないのもさすがイギリス。'folks'じゃねーだろ。ちなみに乗客の皆さん、呆れてはいましたが怒ってる人はおらず、紳士的に車掌さんに質問していたのが印象的でした。みんな寛容だなあ…。

こんなわけでチェスターフィールドという小さな駅で再び降ろされたのですが(その時すでに深夜0時を回ってました。3月とは言え夜はまだまだ極寒です…)、結局そこでも延々1時間待たされ、最後は電車の代わりに振替バスが来て、深夜1時半にシェフィールドに戻ることができました。予定よりも2時間半遅れでした。

今日の経験で何が辛かったって、2時間半という遅れそのものよりも、振替輸送がいつ来るのか全く知らされないまま、寒い構内でひたすら待たされ続けたことでしたね。ロンドンでは歩き通し・立ちっぱなしだったためかなり疲労していたこともあって、あの果てしなく感じられた待ち時間は、身体的・精神的にかなりきついものがありました。

まあ救いが少しでもあったとすれば、待ち時間にちょっと話したイギリス人の青年が「こんなに待たされるのは初めての経験だよ」と言ってたことでしょうか。鉄道「途上国」のイギリスでも、さすがにここまで非効率的な振替はめずらしいようです。

あと上でも書きましたけど、乗客のみなさん文句は言ってましたけど、怒って駅員に食ってかかるなんてことはせず、「まあしょうがないか」といった感じで淡々と待っていたのには感心させられました。待ち時間に互いに仲良くなったらしきお婆ちゃんグループなど、ずっと冗談を言い合っていて、ようやくバスが来たときには車内で「お家に帰りましょう、紅茶を入れましょう」と陽気に合唱してました。何と言うか、こういうトラブルが起こったときの「余裕」が日本とは全然違うんだなあと感じました。

かたや信号機トラブルどころか人身事故が起こっても30分で電車を復旧させる一方で、少しの遅れでもキレて駅員にどなりつける人がいる日本と、かたや信号機が故障したらその日はもう電車全滅だけど、人々は余裕を持って振る舞えるイギリスと、どちらが良い社会かは一概には言えませんね(まあイギリスでも、ロンドンなんかの大都市ではもうちょっとピリピリしている人が多いように思いましたが)。とりあえず、このシステム効率性とメンタリティの違いがそれぞれどこから来るのか、とても不思議です。今後の考察課題です。

ともあれ僕は英国人ほど「寛容」の精神はどうやら無いようでして、チケットの払い戻しを受けられないものか、このあと調べる気まんまんなのでした!